運転者

いつもありがとうございます。

今回のこの「運転者」という本は小説ですね。自分はよく本を読む方だと思っているのですが、そのほとんど、いえほぼ全部がいわゆるビジネス書ですので、こういった小説ものはほとんど読んだことがないんです。なので、最初に目にしたときは、正直なところあまり気がのらなくて、しばらく積読状態でした(ごめんなさい・・・)。そうですね、2週間くらいは過ぎてしまいましたでしょうか。

もちろん気にはなっていたんですよ、とっても言い訳にしか聞こえないですね。

それが、なぜか昨日の仕事帰りの電車の中でこの本を読んでみようという気持ちに急になりまして、夕食後から読み始めました。そしたら、なんと一気に読み進めて読み終えてしまいました。幸いにも、読み始めたのが金曜日の夜でしたので翌日は土曜日で休日だということもあり、気兼ねなく読み進めることができました。

こういった小説が好きな人から「一気に読み終えてしまった」とよく言っている人がいますが、自分の場合は先ほどもお伝えした通り、こういった小説にはあまり興味がないので、ほとんど場合には途中で退屈になって読まなくなることが多かったのです。

それが、なんと今回は一気に読み終えてしまったことに、自分自身もちょっとビックリです。もちろん、私のことをよくご存じでしょうから、興味あるものと選んでもらったのだと思いますが、それにしても・・・です。

読み始めてから最初は、またおとぎ話で空想の世界の話だな、と思いつつ読みすすめ、そのうち、こんなタクシーがあるとまあ面白いかな、などとちょっとひねくれた見方をしながら読んでたんです。けれども、だんだんと、なんだか自分のことを言われているような気分になってきたのです。もちろん、主人公の仕事や家庭の環境などは自分とは似ても似つかないくらい違うものなのですが、ふわっと今の自分と重なり合っている不思議な感覚を持ちました。

ゆっくりと考えてみると、この主人公ほど不機嫌ではなかったにせよ、上機嫌に過ごしている自分は、今のどこにもいないな、と。外を歩いている自分を撮影すると、きっと不機嫌そうにみえるでしょう。多少なりともこれからの人生後半をどう過ごすか、について少なからず考え始めているところがあったので、タクシー運転手の言葉や主人公の気持ちの動きに共感できる部分がありました。

人生のターニングポイントというのは、その時はその自覚がないけれども、あとになって思い返すと「あそこが始まりだったな」と気づく、というのは言われてみれば確かにその通りですね。そんなこと考えたこともなかったのですが、今、思い起こすと、些細なことばかりですがちょっとしたターニングポイントはいくつもあったように思います。

例えば、今はある非営利組織で働いていますが、一般の営利企業から転職してここで働くきっかけとなったのはその転職が決まる1年ほど前に、ある書店でふっと目にとまった1冊の本でした。以前は、その本の内容とはまったく関係のない業界の会社で働いてました。その本を手に取って読んだとき、今の自分につながるなどとは想像もしていませんでした。もちろん、その本を見つけたときやそのすぐ後に何か特別なことが起こったわけでもなく、淡々と日常が過ぎていきました。でも、その1年後に思わぬところからその本がきっかけとなる転機が訪れました。

ある程度の長い人生を過ごしてきましたので、こうやって思い返してみると他にもいくつもの「あそこが始まりだった」ということを思い出すことができました。

この本では、タクシーがその人の運が好転する場所に連れて行ってくれる、という設定ですね。そんなタクシーは現実にはありえないのですが、たまにはそんなタクシーに乗った気分で過ごすのも面白いんじゃないかなと思うようになりました。

自分は出不精で人に会うのもどちらかというと億劫なところがあるのですが、このようなタクシーに乗った気分で過ごす時間を増やしみようと思います。

また、「楽しいことを期待するのではなく、起こることを楽しむと決める」というところもついつい忘れがちになっていたことに気がつきました。どうすればいいことが起きるんだろうとか、同じことを繰り返しながら毎日が淡々と過ぎていく中で何かいいこと起きないかな、と期待しながら過ごしている自分がいたことにも気がついてしまいました。ひとつひとつ目の前で起こることを楽しむことも忘れていたように思います。

ちなみに、あのバーで主人公が出会ったギタリストの話も人生の後半を考えるにあたって、とても身にしみました。

いずれにせよ、気分がすっきりした気分です。自分の過去を振り返りつつ、先を見据えることを考える良いきっかけとなりました。
今回もありがとうございました。


それでは、今日はこのへんで失礼します。

追伸:次回からは積読にせず、すぐに読むようにします!

 

転職の思考法

いつもありがとうございます。

今回は転職について書かれた本「転職の思考法」ですね。でも、これまでに何度か転職をしてきましたので、この本を見たときに「なんで今さら・・・」と、正直なところ感じてしまいました。(ごめんなさい)

ただ、よく思い起こしてみると、何度も転職しているのに転職に関する本を読んだ記憶がありません。これだけ本を読むことが好きなのに、1冊も読んだことがないということに(自分自身のことですが)意外な感じがしています。そういう意味では、今回のこの本が自分にとって転職に関するものとして初めての本になります。

本を読みながら昔のことを思い起こしました。私が初めて転職したのは37歳になる少し前でした。転職活動を始めたのは35歳の時でしたので、実際に転職するまでに1年半から2年くらいかかったことになります。その当時(今からずいぶんと前になります)、自分のまわりには転職したことのある人はひとりもいなかったので、転職しようと思い立ったのはいいけれど、転職の仕方などまったく知るすべがありませんでした。まだインターネットはまだそれほど普及していなかったのでネット検索するわけにもいかず、手探りで転職活動を始めたように思います。

とりあえず、いくつかの転職エージェントを探して、そのエージェント会社に訪問してインタビューを受けて登録してもらうということを数社に対して行いました。今だとネットで簡単に登録できるのですが、当時はエージェントの人と直接会うところからスタートしました。何社に登録したかはもう覚えていませんが、この本にも書いてあるとおり、今思うと本当にいい加減なエージェントがいくつもあったように思います。最初の頃は何もわかっていなかったので、先方から言われるままにとりあえず行動していましたが、ここに書かれているエージェントの選び方を知っていれば、無駄な時間を使わずに済んだように思います。

この本に書かれているエージェントの選び方など全く知らずに適当にエージェントを選んで登録していた自分でしたが、幸運な点がひとつありました。そんな環境の中で自分にとってひとつの救いだったことは、いくつも登録した転職エージェントの中でこの本に書かれている、まさに転職の思考法を教えてくれたエージェントがいたことでした。その転職エージェント会社は当時は設立して数年目の会社だったと思います。まだ小さな会社だったからだと思うのですが、代表取締役社長であったWさん自ら私に転職の思考法を手取り足取り教えてくれました。いわゆるS級人材とはほど遠い人材でごく普通の自分でしたが、本当に懇切丁寧に対応してくれました。今更ながら、本当に感謝しかありません。

市場価値というものを真面目に考えたのは、その時が初めてでした。当時は自分勝手に「もっと自分の力を試せる会社があるはず」なんて思いながら金銭的な待遇とより上位のポジションを目指して転職活動を始めてました。本当に若気の至りというか、ギラギラしていたというか、今思うとちょっと恥ずかしくなってしまいます。

Wさんとは何度も何度もメールでやり取りをしながら、自分にはどんな市場価値があり、それを活かせる会社はどこなのか等、順を追って私の頭の中を整理してくれました。大手の転職エージェントも含めて他のエージェントは、最初に面談をした後はメールなどでのやり取りはほとんどなく、いくつかの会社を紹介してくれるだけでした。

ちなみに、先日このWさんの会社をネットで検索してみました。代表取締役社長として健在のご様子でしたが、かなり白髪がめだっている印象でした。あれから20年も経っているのでお互いに年をとっているのは当たり前ですね。白髪が増えているのは自分も一緒ですので、人のことは言えませんしね。

その市場価値については、この本には「自分の市場価値を測る際の3つの軸」を紹介していますが、これはとてもわかりやすくていいですね。自分の最初の転職の時は、技術資産と業界の生産性に似た2軸を中心に絞って検討していました。さらに専門性や経験について洗い出していたように思います。

ここ本では、もう一つの軸を加えて3軸で考えるというのは、言われてみれば当たり前のようにも思いますが、どちらかというと自分が苦手とする軸なので、どうしても最初の2軸中心になってしまったのは否めません。

自分の市場価値がある程度わかってきたところで、だんだんと気になるのが、どの業界のどの会社にターゲットを絞るか、ということでした。業界選びの際には、【自分の経験のある業界・自分にとって新しい業界】、【自分がもっている既存スキルを活かせる・新しいスキルを身につける必要がある】の2軸4事象(マトリックス)で整理しながら検討していたことを覚えています。でも、この本で紹介されている伸びるマーケットを見つける方法や伸びる市場の中から自分にとっての最良な会社の見極め方は、具体的で取りつきやすいのでとても役に立つように思います。特に、自分がその会社に入った後にどのように活躍できるのかという点はとても気になるところですので、この活躍の可能性を事前に確かめる3つの方法は、正直なところ昔の自分に教えてあげたいと思いました。ほんとに。

会社選びのところで「会社としていいかという軸と、転職先としていいかという軸は、必ずしも一致しない」とあるのですが、これには胸が締めつけられました。会社としてはいいかもしれないけれども、自分の転職先としてはダメというケースがあるということですよね。ご存じのように自分は複数回の転職経験があります。そのうちのある転職先の会社は、成長真っただ中のマーケットで設立数年目の勢いのあるベンチャー企業でした。活気にあふれ、創業者は人柄もよく、とても雰囲気の良い職場でした。自分にとっては全くの未経験の分野だったのですが、とにかく朝早くから夜遅くまで毎日よく働きました。この会社での経験やスキルは将来の自分にとって必ずプラスになるものだと思っていましたし、実際に働き始めて、それは間違っていなかったという実感もありました。

しかし、一方では家族との時間もろくにとれないほど忙しい毎日になってしまいました。通勤時間が片道2時間(往復ともにほぼ満員電車)ということもあったのかもしれませんが、毎日へとへとになってしまい、せっかくの土日も家で疲れて寝ている時間が多くなりがちでした。転職するまでは、毎晩、まだ小さかった自分の子どもたちに絵本を読んで寝かせつけ、休日には家族で一緒に公園で遊ぶという平凡なことが楽しみでしかたなかったのですが、この生活も一転してしまいました。平日は子どもたちと会話することもなく、ただ寝顔を見ることしかできず、土日は疲れて一緒に遊ぶ気力がもてない、そんな日々が過ぎていきました。いや、正直なところ本当につらかったです。心の中のジレンマと戦い続け悩んだあげく、結局、半年も経たないうちにその会社は辞めてしまいました。

「マーケットバリュー」だけではなく、「働きやすさ」や「活躍の可能性」も考えて会社を選ぶべき、というのは読んでいて本当に身に染みます。「働きやすさ」はいろんな視点があると思うのですが、仕事とプライベートとのバランスも関連していると思います。この会社を選ぶ際に、この点もちゃんと考えておけばよかったのになあ、と思ってしまいました。

 

今日はここまでにしておきますね。

おやすみなさい。